「夏の小作品」2016より(2)

 

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弧線の繰り返して、鳥のように塔のように空へ続く世界

クレパスで描いた線は、どうしてもベタベタしてしまします。

紙に余分に付いているのにしっかりとは定着していない。わざとらしい。そこで、ナイフでこそげ取ったり、布でふき取ったり、あるいは指で押さえてみたりして、線に変化をつけていきます。石に彫ったような線にしたくて。

少し描いたら、上から透明水彩やガッシュなどをのせます。クレパスは油性、これらの絵の具は水性なので、クレパスで描いた部分は当然絵の具をはじいて着彩できません。

それでも乾いたら、紙の上には絵の具が残ります。日本画の画面のようにザラザラして、重たい感じ。そこで、シンクに持って行って、画面に流水をかけ、絵の具を落とします。時々気に入らないところを小さなタワシでこすっていじめると、絵の具やパステルのある紙の層のさらに下の白い紙質が現れます。清潔感な白、白いクレパスや絵の具を塗った白ではない、はじめの白を取り返したような白です。マイナスの白とでも言いましょうか。

35度近い真夏の真昼に描いたり、削ったり、洗ったり、これを繰り返しているとまるで「五体投地」でもしているようなぼうっとした気分になります。祈るような気分。エアコンをつけました!