臨模して

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真っ直ぐに模写して、「臨模」

夏のある日ハスを描き始めました。このところクレパスとガッシュの作品を結構描いていたので、シンプルな墨の作品をやってみたくて、何かないかと探してみたら、蓮がいいと思いつきました。

 

IMG_0054それはたぶんこの夏、近くの禅寺「千眼寺」で行われたお盆の法要に出かけたからでしょう。

この「千眼寺」は京都の宇治にある萬福寺派の禅寺です。かつては黒田家の為に法要を行っってきた、九州でも格式の高いお寺です。

 

その法要「大布施餓鬼法要」というもので、夕方から始まりました。

隠元禅師によって伝えられたお経は中国語の発音で読まれ、作法も日本の禅宗に中でももっとも中国的な要素を残しています。蒸し暑い時期の最中、本堂には冷房施設はなく、その代わりにいくつもの氷柱が建てられ、涼をとります。

10名を超える禅僧たちの読経の声と鐘や太鼓、時にはドラがの音が響いたりして、まるで中国語による仏教ミュージカルのようで、「もしかして極楽浄土ってこんな感じかも?」と素直に思えるのです。法要が終わり外に出ると、あたりは無数の灯で満たされていました。とても幻想的な雰囲気に満ちていました。仏さまのことが身近に感じられました。

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IMG_0071模写する作品は宋時代の墨の作品を選びました。中国絵画の歴史のなかでとりわけこの宋時代は植物や虫、鳥などを描いた小品に優れたものが残っています。小品でありながら極めて精神性の高い名品がたくさんあります。昨年北京を訪れたと時、買い求めた故宮の名作を題材にした中国絵画のテキスト大全集集の中に「蓮」をテーマにしたものがありました。

 

IMG_0052この中の一つの作品をとりあえずコピーして、本紙にあらかたの形を写したあと、線描きを行い、墨の濃淡を丁寧に施していきました。結果は蓮の方はまずまずといったところでしょうか、よりと魚たちがどうもうまくいかず、さらなる修練が必要です。うまくいかないのは魚や鳥のことを知らないから?

 

IMG_0053ものかたちを写すこと、コピーすることにはとても辛抱がいることではありますが、大事なことはそうではなく、対象とするもののあり様をよく理解すること、その存在に感動することなのでしょう。臨模する時間は作者の感動を想像し、それを自分なりに味わい再現しようとする時間でありたいと思いました。

 

精神性には程遠いものですが、こんな感じになりました。

 

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