2017 夏の作品より(2)

 

 

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こどものように無邪気に、大人のようにレガントで

無邪気であることと、エレガントであることはなかなか両立しにくい。実際の人生ではこどものまま大きくなる訳にもいかず、よく物事をわきまえてくれば、そう無邪気なままではいられないし、それなりにすっきりと対応したいと思ってしまう。
しかし絵を描く時、そこをなんとか一枚の紙に両立できないかと求めてしまう。
私は大人の絵とこどもの絵を行ったり来たりしている。

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ところで優秀なチンパンジーたちはいい絵を描くらしい。

しかも絵を描くチンパンジーにそれぞれの作風があるという。もしその作品だけを見せらたら、現代美術としてとても魅力的な作品ばかりである。

 

斎藤亜矢さんは「ヒトはなぜ絵を描くのか」という本でチンパンジーたちが絵を描くことと人間の子どもたちが絵を描くことの違いを明らかにしようとしている。

その大きな違いはヒトは表象、それまでに知覚したものを思い浮かべてみて表れてくるイメージを描こうとするが、チンパンジーにはそれができないらしい。幼児とチンパンジーは同じように手をうごかして線を描いて見せるが、ひとの子どもたちは体を動かせながら、何かをイメージしてそれを表出させようとする。

絵そのものは言語をあつかうものではないが、そこにはことばの習得や発達段階と深く関わっているようだ。

 

IMG_1538そういえばうちにも幼児の描いた虹の絵がある。

娘が3〜4歳の頃、わたしの姉の家で、それは当日姉が加入していた生協の注文用紙の裏に描いた作品である。

20歳のお祝いに姉はこの作品を刺繍にしてその原画とともに送ってくれた。

 

IMG_1539守られ絵を描くことができるのは本当に幸せなことである。新しいものを求めて制作する苦しみは押し寄せてくることがあるけれど、イメージする時こころのなかに温かいなにかを感じていたいと思う。