K2

 

K2とペガサス

K2はエヴェレストに次いで世界で2番目に高い山。中国、パキスタン、インドなどとの国境をなしているカラコルム山脈の最高峰である。

もうずっと昔になってしまったが、1989年の9月、友人と二人でこのカラコルムを越えて、中国からパキスタン、そして、インドまで旅をしたことがある。国境を越えて、パキスタンに入って、2、3日したらすぐに中国側に戻ろうと考えていた。ところが、その直後に初雪が降り、国境はそのまま閉ざせれてしまい、そのまま一筆書きのの長い大冒険の旅になっていった。ガンジス川の源の町、ギルギットからバスでイスラマバードへ、そこから京都大学の学術発掘隊の調査しているガンダーラの遺跡を訪ね、ラホールへ、そこからインドのデリーに飛び、香港を経て、浙江省の杭州へたどり着いたとき、北京を出てからもう1ヶ月が過ぎていた。

この作品は2002年の作品である。

ピンクのペガサスと尖った峰を描いていたら、10年以上も忘れていた当時の体験が蘇ってきた。私にとって絵を描くことは、偶然に記憶に触れることかもしれない。そうして自分自身を確かめ、リノベーションしているのかもしれない。記憶に触れるということは単に昔を懐かしむということではないようだ。

またいつかこのペガサスのようにこのカラコルムを越えて冒険の旅をしてみたい。

コロナ禍の中でリアルな体験をし、「生きている」という実感を感じることが減った。

感動することを探している。心がWi-Fiのように繋がる先を探している。