about 「beyond」- 水墨画「beyond」について

『beyond』独自のコンセプト・特徴

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色彩の豊かな水墨画

墨一色の伝統的な水墨画と違って、色彩をふんだんに使った鮮やかさと軽快さが特徴。
白と黒の墨絵のイメージを一新させたい。

現代水墨画としての世界

描くテーマが具象にとらわれない。画くことによって無意識の中にダイビングし、そこからこころのフィルターを通してイメージが現われ出る、具象でもなく抽象でもない心象の世界。

そしてその心象の意外性とユーモア感。

開放系の画面構成

離れてみてれば一つの作品。近づくと無限にひろがるミクロの山水との出会い。

「beyond」という題名に込められた意味。それは、現代に生きる私自身を越えて西洋でも東洋でもない、現代の水墨画としての芸術性の追求です。あたまにイメージしたものを形にするのではなく、むしろ墨と水という偶然の出会いの中で、作者自身も思いもよらない世界を創造していきたいということです。

作 風

自由で独創的な造形感覚が特徴

油絵で得た色彩感覚と余白に余韻を残す水墨画の良さを生かしています。

「東方の古典的な音律を感じさせながら、それでいて極めて現代的な感覚をあわせ持っている。」 「筆の動きによって大自然を収めとり、紙という世界に宇宙を引き寄せてくるような大きなエネルギーに満ち溢れている。大自然に由来するものであり、生命の力が息づいていて、まるで自然界の音の響きを感じさせる。作品は作者の心の中からそのまま溢れ出た結晶であり、鑑賞するものの想像力を大いに刺激して、もう一度作品を創りあげていくような楽しみを与えてくれる。・・・」(作品集 まえがきより)

作品の楽しみ方

白を残して白を描く

私は作品を制作するにあたって、テーマや題材を意識せず、とにかく筆を動かして何かを画き始めます。ご覧になられる方のなかには、たぶん私の絵がわかりにくいと感じられる方がいらっしゃるかもしれません。たしかに当の私も画いてみなければそれが何かわからないことがよくありますし、作品の上下そのものも後から決めることもありますし、作品の題名も実はかなりいい加減です。

古典的な水墨画の考え方からすれば、お叱りをうけるかもしれません。詩と書と画は一体でなければならないとか、気韻生動であるか、用筆はどうか、墨に五色あるか・…と。しかし現代という時代のなかで、私が水墨画を画く意味は、いろいろなものから自分自身を解き放って自由になって想像し、発見し、感動することだと考えます。

たとえば水墨画において「余白」はとても重要です。そこには「白を残して白を描く」というべきパラドックスが存在します。それは墨の発色をきれいに見せるための効果だけではなく、それ以上に描かれていないところにこそ、観るものの思いや感情をかきたてさせるという役割を持っているからです。

墨の発色、描いてみなければ出会えない驚きや発見を

また水墨画は水と墨、画仙紙、そして毛筆という自然素材を使って制作するため、制御しようとしてもしつくせない偶然性をはらんでいて、二度とできない効果が現れ出ることも少なくありません。作者自身も描いてみなければ出会えない驚きや発見があり、心を融かしてくれます。ひとりで制作しているにもかかわらず、まるで誰かと一緒に描いているようにさえ感じられるときもあります。

作品の出来不出来にかかわらず、墨のにじみやかすれ、濃淡、あるいは余白の持つ魅力は、それだけで魂のはたらきを刺激し、人々に何かを想起こさせる力があるからです。描く側はもちろん見てくださる側もイマジネーションの翼が必要です。最先端の3Dの世界をみるのとはまったくことなった受け身ではない自由で創造的なイマジネーシンが必要です。しかし、これこそが水墨画の大きな楽しみでもあり、醍醐味であると考えられるからです。ですから、作者の意図など気になさらずに、どうぞご自分の思いのままに、ご自分の体験や感じ方にしたがって自由にご覧いただければ幸いです。