Jelly cups

色紙というものに初めて描いた。実はこんな小さな四角の中にこじんまりとハマりたくないと思っていた。

11月に幼なじみの友人と故郷の徳島の美術館で二人展を開くことになっている。

その友人は日展作家の書家である。古今和歌集を書く。

せっかく二人で展覧会をやるのだから、何か共同で制作したらどうだろうということで、まず向こうから数枚の作品を送ってくれた。その作品に何か絵のようなものを描いて送り返すという算段だったが、これが全く手だでない。

書なので、言葉の意味を考えてしまう。そこには詩があり、その詩を選んだ友人の思いを想像してしまう。自分にもっと画量があって、山を描いて言われれば山、海を描いてと言われれば海を描くことができれば良いのだが、それができない。したくないのだ。

たぶん絵を描くことに何かを求められたくないからかもしれない。

「自由でいたい。」

そんなこんなで私はきっとプロにはなれないだろう。

色紙にちょっと描いて彼女に送ろうかと思った。書の取り分を残して。

いい加減な気持ちで絵具をポタポタ落として遊んだ。

七色のゼリー? 七色のバブル?

最高級色紙には中国の本画仙が貼ってあって、驚くほど発色が良い。

どんどんポタポタやっているうちにその発色が楽しくて、気がつけば彼女も書の入るはずのスペースは、かけがえのない余白となっていた。

またこれもコラボ候補になれなかった。次に進もう。