雨のスクランブル

 

 

ブルーの色調とチクチクしたような墨の線たちが、傘の骨や柄のように見えて、雨の中を傘をさして人びとが行き交うスクランブル交差点を想起した。

傘の柄に手をやって、さあこれから傘を開こうとする時、これまで見ていた光景が傘の動きに合わせて切り取られていくような瞬間がある。

 

 

開いた傘のカラフルな絵柄と、雨のしずくで路端の濡れた感じのコントラストが、身体の感覚を目覚めさせる。メリーポピンズではないけれど、傘を開くと何か違う自分になったような軽いトキメキを感じる。素敵な傘ならなおさらだろう。

 

 

赤い「燕脂」の絵の具を塗っては、ときめいて、青い「花青」の絵具を塗ってはちょっと悲しい感じになったりと、二つの感情が絵の中のスクランブ交差点を行ったり来たりしている。