sannwa
「おだのぶなりさんのような」千鳥がこの絵の主人公。
片足でジャンプ! その額から鼻先にかけて、そしてその目の感じが似ていると思った。
テレビで拝見する織田さんの人なつっこくて、温かいお人柄をちょっと想像して、描きながら微笑んでしまった。
こういう作品を水墨画の世界で「写意画」という。描く対象となるものに作者の「意」、「想い」を託して表現するジャンルである。
それではその「想い」はどのように対象に託されて現れ出てくるのか?
その表出のありようとはその作家の個性そのものと言える。
その一つの表出の定石として、作品の中で描かれたものどうしが「呼応」していることが大切だといわれる。もし静物でなく動物たちを描くなら、それらがたがいに「アイコンタクト」を取っているかどうか。仲の良いものどうしなら「愛情あふれる」アイコンタクトを、食うか食われるかという鬼気迫る関係なら、「威圧と恐怖に震える」アイコンタクトが描かれているかということである。
アイコンタクトは下のトリから始まって、ジャンプしている「のぶなり」君に向けられる。しかし、「のぶなり」君はジャンプしっちゃって回転中。受け止めてもらえない。
実はこの絵には千鳥が3羽いる。左上にもう1羽が。
左上にいるもう1羽の彼女は我関せず、「しーらーない。」と虚空を見つめている。
ということで全体的は?
実はこのジグザク感が自分でも結構気に入っている。
アイコンタクトはないけれど、「想い」は途切れず、繋がっている。
なかなか人は言う通りにはならないものだ。愛情はこんなにいっぱいあるのに。
それでもジグザクながら想いは「呼応」している。そういうのも楽しい。
2020年8月30日