こんなハサミがあったら、人生もう少しすっきり片づいていたかも?

この作品のみどころは、微妙なバランスのおもしろさです。

 大きなハサミがこけそうでこけないでたっているところを味わってください。左側に倒れないように、落款を右の端の打ってバランスをとってあります。制作時間は30~40分程度だったと思います。子どもたちのお正月の書き初めのときのような気分で、黒い太い線で一気に描き上げました。

 この作品は2008年に福岡市中央区天神の「ギャラリーおいし」での個展に展示したものです。白い塗料を塗ったコンクリートブロックの壁にうまくマッチしました。

パネル貼りの水墨画

 水墨画というと床の間で掛け軸という印象が強いと思いますが、少し抽象的な作品やあるいは現代の書に近いような作風のものはパネル貼りにして、展示するとコンクリートの打ちっ放しの壁やこのギャラリーのようなブロックの壁によく映えます。一般にパネル貼りをする際は木製のパネルを使用しますが、この作品は実は木製パネルを使用していません。建築用の硬質の断熱材のパネルを利用しています。

 ホームセンターでまず「スタイロホーム」などの硬質な断熱材を購入し、そこで作品のサイズに合わせてまずカットしてもらいます。先にカットしてもらっておくとサイズが正確にできますし、大きな車でなくても自分でもって帰れます。自宅でそのうえに裏打ちした作品をのせ、四隅の角をあわせとエッジにそって折り曲げ、その端を製本テープでをくるんであります。

 水貼りしたようにはいきませんが、とにかく軽くて、指一本で持ち運べますし、飾り付けの上げ下ろしも苦になりません。またアクリル板がない分、光りの反射がないので作品を鑑賞しやすいのもいい点です。ただし、汚れやすいので、同じサイズのものを作品面どうしを内側にして合わせ、ひもでくくって運搬します。長期の展示には耐えられませんが、ギャラリーなどを利用した一時的な展示であれば、額装代の節約にも有効なのでお勧めしましす。