今年もあと少しになりました。

 

青い鳥 1

 

今年もあと少しにまりました。

「クリエーターEXSPO」を終えてからいろいろ思うところがあって、自分自身の作品の質をたかめる必要を強く感じはじめました。正直なところこれまではだだ楽しければいいと思っていました。上手に描こうとは全く思っていませんでした。しかし近頃になって、面白いだけではだめじゃないかと、かたちの向こうにある世界へもっとたどり着きたいと切実に思うようになりました。

 

黄色い鳥

 

かたちの向こうにあるものとは?

 かげがえのない個性の表現として生れ出る造形感覚は、アートの世界で一番大切にされるべきことがらでしょう。他の作家としっかりと異なっていること、つまりどれだけその作家にオリジナリティーがあるのかということですが、その造形感覚によって生まれてきた色や形として出来上がった目に見えるものとしての作品、その向こうにある世界とは一体なんでしょう?

 正直なところ、今はまだよくわかりません。ただ絵というものは視覚に基づくわけですから、当然光の世界に属していて、光の粒子を操って色や形を描くわけです。墨の色も、線や点、かすれやみじみは暗闇のなかではなにも見えません。光があるから、存在できているわけです。どうも光の輝きと生命とはずっと深いところで共有しあっているように感じます。私を生かしてくれている何かに思いを寄せながら作品を制作していこうと考えはじめました。

 

青い鳥 2

 

水墨画と裏打ち

 この作品は掛け軸にもできるような裏打ちのやりかたで裏打ちされています。 作品の本紙の裏から肌紙といって一枚薄い和紙をあて、その上からしっかりとした和紙をもう一枚貼ってあります。

また奈良の墨と中国の墨をそれぞれ摺ってブレンドして墨色を出してみました。以前の作品は墨汁を使って制作したものがほとんどです。墨汁は粒子がきわめて細かく紙の上での流動性が高く、よく滲みました。溌墨の効果を生かした作品が多かったのもそのためです。それらと比較していただくとこの作品の線質が違っていることがご理解いただけるでしょうか?線に少し立体感があるように感じます。まさに摺った墨と裏打ちの手法によって、引き出していただいた効果と言えるでしょう。