英国 「Norwich」で個展を開催しました。〈1〉

Nowichi 個展チラシ①

 

英国 「Norwich」で個展を開催しました。

ノーリッジ大聖堂 8月末から約1ヶ月間 英国イングランドの東部にある「ノーリッチ」という都市に滞在し、その間を利用して個展を開催しました。ノーリッチはノーフォーク州の州都です。中世からヨーロッパ本土向けの毛織物の取引で栄えた歴史的文化都市で、産業革命でマンチェスターその経済的地位が移るまで、ロンドンに次いで2番めの大きな都市でした。現在は人口が13万人程度のこじんまりとした小都市となっていますが、ノーリッチ城や大聖堂を中心にまちのいたるところに中世からのノーフォーク様式の教会や木造の建築、石畳などの町並みが残っていて、旧き良きイングランドを多くとどめています。

 

ウェンサム川(River Wensum)にかかる橋 人々はロンドンに住む人よりもゆったりとしていて、家族との時間や生活を楽しんでいるようです。  また文化や芸術の面においでも、古い都市だけあって理解が深いように感じられました。またまちの中心部にはノーリッジ大学の美術学部の建物があったり、SAINSBURY INSTITUTE(セインスベリィー日本藝術研究所)があり、日本文化や美術についての講座が定期的に行われたりしています。

 今回は、夫がこの研究所とのご縁により在外研究の機会をいただき、わたしも一緒にノーリッジに滞在できることになりました。そこで、私自身海外生活の体験も少なからずあることから、それらの経験を生かして、ひとつの挑戦として海外での個展開催に挑戦してみました。

 

個展の準備

1.どのように作品を運べばよいのか?

 最も苦心したことは、まさにこのことです。もとより、スポンサーなどなく、輸送するために額装したものを美術品専門の輸送会社を使うことなどできません。かといって、確実に着くかどうか確証のない郵便で送る訳もいかないからです。そこでなんとか追加荷物として持参できないものかと考えました。

 まず個展を行うギャラリーのスペースとおよそ発表したい作品のサイズを考慮して15点〜20点の作品を決定しました。その一方で今回利用したオランダ航空の預け入れ荷物の制限にそってタテ,ヨコ、高さの3辺の和156センチ以内のダンボールをオーダーすることにしました。この箱に紙缶を何本か入れ、それぞれの紙缶のなかに作品を巻いて入れて運べないだろうか?持参する作品の数が仮に20点とすると使用する紙缶の数は3〜4本となる。また紙缶の長さは6尺全紙の作品の場合,裏打ち紙の耳部分を入れると長いもので98センチぐらい必要ではないか?出し入れを考え有効寸法を100センチとして残り56センチをタテ,ヨコで割り付け手持ちの紙缶が4本が果たして収まるだろうか?といった問題が浮上してきました。

 また、もしこの特注ダンボール箱にうまく収まったとしても、預け入れ荷物の場合、受け取る際に丈夫なトランクでも傷ついたりへこんだりして出てくるこがよくあるのに、果たしてダンボールの箱で大丈夫なのか?そこで二層紙のダンボールを使用することを決め、業者さんに発注しました。そして荷造りの際に採寸してカットしておいたベニヤ板を入れ込み補強しました。

 しかし、このように何枚かの作品を巻いて運ぶことはできても、実際に現地で取り出したとき巻きグセがついてひろがらなくなることが予想されます。そこでもう一度裏打ちのやり方から見直すことにしました。そして美濃の和紙を使ってよりしなやかで丈夫な掛け軸仕立てにやりかえることでこの問題を解決しました。

2.どのように作品を展示するのか?

 こうして運び込んだ作品ですが、現地でパネルに貼り込んだり、額装するとには無理があります。もちろん経費面でもそうなのですが、どこの業者に頼むか、またどのくらいの日数を必要とするのか?また私の英語力で細かいところまでオーダーできるだろうか?など問題が山積です。

 なんとか自分の手におえる範囲で展示を行いたいと考え、そこで表具師の清水さんと相談した結果、和紙で筒状のものを作り、それを作品の上下に両面テープで貼付け、その筒に棒を通して、簡易な掛け軸のようなものにして展示することにしました。こんな感じです。

A type しかし、こうして作品を現地に無事運び込めたとして、次に作品を掛けるために直径が30ミリ程度の棒が必要となります。DIYを探さなければなりません。日本もそうなのですが、イギリスでもホームセンターのようなものはおおよそ郊外にあり、そこに行くためには、タクシーをチャーターするか、レンタカーを借りて自力でいくか、あるいは現地の方に連れて行ってもらうか、といった問題が浮上してきました。とりあえず今回私の個展を手伝ってくださるというサラさんとケイティさんに作品の展示方法と棒を含めた必要となる材用を知らせ、とにかくノーリッジに向けて出発しました。        ーつづくー