「夏の小作品」 2016より(6) 

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面と線をずらしてみたくて。

絵を構成する要素には点と線と面、そして色彩と素材感があります。点が集まって線となり、線が集まって面となっていくわけですが、線と面とには次元の異なる世界があるように思います。面はどういう形であるか、それ以上にどんな色彩であるのかが大切です。見る人の心情に触接作用するからでしょう。気分といってもいいでしょうか。ピンクだったり、黄色だったり、あるいは黒だったり、色によって全く違う印象を与えてきます。例えば同じ自動車でも黒と白では印象が違いますし、フォルムが生える色とそうでない色があります。

線と面の形そして面としてのその色彩がぴったりとあっているとき、とても簡潔に、そしてはっきりとメッセージを伝えることができます。グラフィックの世界ではとても大事なことだと思います。例えばミフィーちゃん、本当に素晴らしい。簡潔で無駄のない、しかも温かみのある線はもちろんですが、人々から安心して愛される所以はミフィーちゃんのあのオレンジ色にあるのでしょう。薄くても濃くても、明るくても暗くてもダメなあのミフィーちゃんのオレンジ色でないとミフィーちゃんの印象は全く変わってしまう、ミフィーちゃんの性格さえ変わって見えるように思います。

 

色彩は、思考よりも記憶をくすぐる力があるように感じます。もしかして脳の中で時間の感覚の領域を共有しているのではないかと思ったりします。色彩は光ですから、光は時間を作っていく。

バージョン 2 ということでちょっと色彩と線をからませずに、わざと外してみたくなって、こんな作品ができました。

表現がぴったり来ないのですが、例え「お風呂のガラス戸にクレヨンで落書きして向こうに人の気配があるような」「意思と気分がレイヤー重ねてで載せて一枚にしたような」感じに。