「夏の小作品」2016より(7)

IMG_00123

 

「Pacific〜」?

この作品は最初の段階から、海を思って描き始めました。白いクレパズで波に漂う感じの線を入れ、金彩を垂らして、太陽のような、星のような、光の粒ような点を散らし、その上から藍色や青を何回もかけていきました。時には洗ったりして。最初は太平洋の青い海を思い出して描き進んでいましたが、途中からかなり前に行ったホエールウオッチングの時のことがまた思い出され、イメージがそちらの方に動いていきました。

もう20年も前になりますが、家族でボストンに1年ほど住んだことがあります。その時大西洋のホエールウォッチングにいきました。お昼過ぎに船に乗り込んみ、簡単にクジラがみられるからと客引きのおじさんの言葉を信じて、洋上いくこと3時間、クジラたちは一向に現れることはなく、結局港に引き返すことになりました。

太陽はだんだんと西の方に傾き始め、行き先?戻り先を照らし始め、乗客たちも諦めかけた時、大きなクジラが現れ、ジャンプしました。狐につままれたような、いやクジラにつままれたような一瞬の出来事でした。クレパスの白い線が水を弾いているのがクジラの去った後に、その尻尾が作った白い波のように見えてきます。作者ながら不思議に感じます。絵を描くことは描きながら思い出すこと、脳の海馬に蓄えられた記憶を手繰り寄せ、体験を再確認することでもあるのかもしれません。確認しながら、脚色していくような。

この絵は本当は「Pacific〜」ではなくて、「Atlantic〜」と名付けた方が良い空想の海です。

 

白鯨1以前投稿したことのあるかもしれませんが、この「白鯨」もその時のホエールウォッチングから生まれた作品ででした。これは墨の作品。

 

 

 

 

 

 

「白鯨」