「瀑布」

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ずっと暑くて本当に大変です。この作品をご覧になって、どこかの滝に行かれたような気分になっていただけたら?

これは滝の絵です。10年ほど前まで、水墨画のお仲間のおばあちゃま達からよく言われました。「小野木さんの作品、やっぱりよくわからない。もっとわかる絵を描いて出品した方がいいよ。」と。当時の私はしっかりこの言葉を聞き流していました。人さまに見せるのだから他にない、オリジナリティーのある作品を出展した方がいいと思っていました。「心に浮かんでくるままに他にないものを」と。

ですから模写とかをやっても途中から好きなように描いてしまい、模写にならず、細かいところはササっと仕上げて、それなりの雰囲気を作って完成という感じでやっていました。

そういうことから言えば、この作品は、2〜3年前ものですが、特にどこそこの滝を描いたものでもなく、心のまま描き進めたものではありますが、一目で滝とわかるように描けた稀有な作品とも言えます。

ここ10年はそれ以前の10年と比べて作品を制作するのとても大変でした。苦しみました。

子育て後期、反抗期や受験のこと、実母の他界、義父母の別れ、相続のこと、そして自分の更年期と、どの方にも訪れる試練が私にも次々とやってきて、絵を描くエネルギーを失いかけました。

描いても描いても同じようなものばかり、色調もうまくいかないので、救いを求めるように中国の元〜明の水墨画の名品をかなり模写をよくしました。今度はできる限り私情を捨てて。作者の筆跡を辿り、味わいながら、模写することで作者の人生を想像したり、共感して、作品から力をもらいました。

いまこれらのトンネルから抜け出て?思うことがあります。

IMG_0058それは「絵というもはわかる絵でもわからない絵でもいい、具象的であろうが抽象的であろうがこだわらなくていい。描きたいと思う気持ち、心意気、心の張りのようなものを持ち続けられるように生活することが大切なのだと。まずは感動することをもっとふやそう」と。