三角たち
と
どちらがお好き?
ちょうど一年前、20数点の作品をプロの写真家のKさんに撮影してもらった。
上も下も同じ撮影データから実際の作品に近づけようと調整したものである。
これらはキャノンのEOS の高機種で撮影されたものである。メーカーによって同じ作品でも写り映えがかなり違ってくる。ニコンはあまり強調されることはないように思うが。私の印象ではキャノンのEOS の場合赤と緑が強く出るように感じる。白と黒の表現である水墨画の画面で赤も緑も表に出ることはない。強いて言えば落款の赤があるが。
しかしカメラも光学的世界では色は赤と緑と青の光のバランスで発色するという。このバランすがつりあっていてそれぞれの光がmaxの245となると白光、すなわち真っ白になるそうだ。
さてこれらの作品の写真はどのように違う印象をは感じさせるのだろう。
わたしの感覚では上の方が三角たちが少し太って見える。墨にマゼンダ(赤系)を少し強く感じるせいだろうか?黒の線たちも濃く感じる。コントラストが強めで三角たちが元気よく感じる。これに対して下の方は飄々とした感じがする。ちょっと枯れた感じもある。後ろの余白にイメージが生まれてくる。しかしこれもご覧になる画面によって違っているだろう。
こうして撮影された作品の写真の調整をやっていくと、紙に描かれたオリジナルの作品のことを思い出せなくなってしまう、作者なのに。どんどんコントラストを強くしたり、弱くしたりしていくと、意識の中で、どれが本物の作品なのかわからなくなる。ほんとはこう描きたかったんだと思ったりする。
ところで少々できの悪い作品でも、iphoneとると何故かイケてる作品になる。多分、iphoneはヒトが何を美しいと感じるかよく知っていて、撮影したデータをに美しい方へ即座に演出して見せてくれるのだろう。その時、その時に、お化粧の仕方に流行があって最初は違いを感じても、人の眼はすぐにアップデートして綺麗だと感じるようになるのと似ている。脳が教育されていく。知らず知らずのうちに人間の眼の感覚は誘導されている。
描きかけた作品をiphoneで撮影して、「おう、こうすればきれいになるのか」と納得したり、作品に手を加えてコントラストを強くして描いてみる自分かいる。
「見ること」は不思議なこと。たぶん「こう感じたい」と思うこと?
2020年8月3日