バイキングのムラ

2017年9月スコットランドのエジンバラからからシェットランド諸島、オークニィー諸島を旅することができた。シェットランドはスコットランドの北限も北限、ノルウェーに近い位置にある。実はこの地域は遺跡の宝庫である。考古学者の夫と一緒に新石器時代〜鉄器時代のたくさんの遺跡を巡った。

シェットランドのメインランド島にはフィヨルドによって深い入江が刻まれている。橋がほとんどないので対岸に行くには入江に沿って、アップダウンのある道を車を走らせてなければならない。森はほとんどない。ゴロゴロした岩かと思うぐらい良く育ったたくさんの羊たちが、丘の上でじっとしている。良質なシェットランドウールの原料となる羊たちである。微動だにしない。

 

この作品はその旅から1、2年して生まれた。余白の切り返しがフィヨルドの入江のイメージと繋がった。森のないこの島で今巨木は見られない。バイキングが活躍した時代の植生がいかなるものであったかどうか、私に知識はないが、その巨木を使った木造の大型船がバイキングの博物館に展示されているのを良く見かけた。

 

立っている巨木。それはマスト。縦の線を加えていくうちに、海と森のイメージがバイキングの世界で繋がっていく。バイキングの木造船のマストが重なり合って、林となり北欧の深い森の世界に繋がっていくことを空想した。