TORI

かなり前の作品です。

 

水墨画をはじめて間もないころか、水墨画をはじめる直前の作品です。
 絵というものはもしかすると、習わないでいるほうが、いいものができるのかもしれません。あれこれと習い始めると、こだわりが生じてしまいます。知らず知らずのうちに自分自身を縛ってしまいます。どちらかというと怖いもの知らずのときもほうが、あれこれとうんちくを聞いてしまったあとより、ずっと迷いのない世界に遊ぶことができるからかもしてません。

 文学ならば、迷いや苦しみを糧として、そこに留まり具体的に克服する過程を言葉という素材で表現できるでしょう。そうして自由になって、次に進むことがでるかもしれません。ところが絵の場合はそうはいきません。迷いや苦しみのなかにあって、すべてを忘れ、画境に遊ぶのはなかなか至難の業です。迷いや苦しみを生きる生身の自分とは別の自分を持ち続けること,童心といってもいいでしょう、あるいは精神の高み、あるいは魂?のレベルに近づく行為ではないかと思えてなりません。子どものころには神様がいました。

 わたしのスランプは当分続きそうです。

これはトリか犬か

 この絵を自宅のリビングに飾ってあったとき、ある人がこの絵を見てこれは犬でしょうといいました。描きあがったとき、とくに何の動物か意識していなっかたので、犬にも見えることにちょっと驚きを感じたのを覚えています。

 作者がトリだと言えばおそらく多くの人がトリだと思ってごらんになるでしょう。また犬だと主張すれば、少し違和感があっても、そうなのかと思われる方も出てこられることでしょう。それだけ私の作品はなんともいい加減で、具体性が欠落しているというなのですが、題名という言葉の持つちからでもあります。

 もしよろしければ、これがなんの動物であるかということより、たとえばこの動物の気持ち?に思いをはせて見ていただければいただけたら、作者冥利につきます。